通常、稲刈りが終わると翌年の代掻きまで、水田には水を張りませんが、渡り鳥の餌場としたり、雑草の繁茂を抑えるために、冬の間も水を引く田んぼ(冬期たん水、冬水田んぼ)が各地で行われています。印旛沼流域でも、農家と市民の協力を得て、冬水田んぼにどのような効果があるのか、調査してみました。
印旛沼流域の水田で、冬期たん水を行った水田と、春まで水を入れなかった水田とを比較し、水質や生物の状況を比較しました。
また、調査に市民も参加することで、印旛沼流域における水田や農業の役割について考えていただきました。
佐倉市萩山新田で稲作を営む農家の方のご協力いただき、平成17~21年度までの5ヵ年にわたり調査を実施しました。
佐倉市萩山新田
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以下の項目について調査を行いました。
| 水質 : | 調査区域に観測井(深さ1.5m)を設置し、硝酸態窒素濃度等を測定する |
| 土壌 : | 冬期たん水を行った水田と通常の水田とで、土の硬さ等を測定する |
| 水稲収穫量: | 冬期たん水を行った水田と通常の水田との水稲の取れ高を比較する |
| 生物 : |
雑草、プランクトン、水生・土壌生物、昆虫・蜘蛛類、魚類、両生類、爬虫類、鳥類の生息状況を調査する 生物調査は県立中央博物館の専門家が行いましたが、現地での水質や土壌の調査は、市民が協力して 実施しました。 |
A)水質等調査
水田の地下水調査では、冬期は冬期湛水田は硝酸態窒素濃度がほぼゼロに近い値をしめしていたが、慣行水田では1mg/l程度を示しており、湛水による効果が現れていました。また、かんがい期は慣行水田も含めて硝酸態窒素濃度がほぼゼロに近い値を示しており、水田の窒素の浄化能力が確認できました。水稲収穫量は、冬期たん水を行った水田と通常の水田との間で大きな差はなく、冬期たん水田の方が多く収穫できた年もありました。

B)生物調査
<植物>
冬生植物のスズメノテッポウ、タネツケバナは、冬期湛水田において、湛水前の12月は高かったですが、湛水後3年目は極端に低くなっていました。
<鳥類>
昼間は湛水したことによる違いは見られませんでしたが、夜の観察ではカルガモ、コガモ等が湛水田に限って多く見られました。
<プランクトン>
冬期たん水を行った水田の方が通常の水田に比べ、生息するプランクトンの種類や数が多いことが確認されました。
プランクトンが多いことは、プランクトンを餌とする小型魚類やオタマジャクシが増え、さらにそれらを餌とする鳥類も集まることが期待できるので、冬期たん水を行うことで、より豊かな生態系を維持することが期待できます。
冬期湛水田は非かんがい期における窒素の浄化能力に効果があること、また、生態系の再生・保全に有意義であることが今回の調査で明らかとなったことから、今後、実施水田を増やすことで印旛沼の水質改善や生物多様性に貢献できるものと考えられます。